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芸歴10年ピン芸人が教えるピン芸人のネタの作り方、ネタの種類や注意点も解説

連載
公開日:2021年5月21日 更新日:2021年5月27日

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。

みなさんこんにちは。
芸歴10年目。ホームステイ先のアメリカの家族にたくさんイジメを受けた事がある、吉松ゴリラです。

今回は、ピン芸人のネタの作り方についてお話しします。

といっても、以前【現役お笑い芸人が実践している面白いネタを作るための勉強方法】でもお話しした通り、ネタの台本の作り方というのは全てバラバラです。

なので今回は台本以外の部分、前提として知っておかなければならない下記にスポットを当ててお話しできればと思います。

・ピンネタをする際の注意点
・ピンネタの種類



ピンネタをする際の注意点

前回の【現役ピン芸人が語る!ピン芸人のメリット・デメリット、コンビとの違い】でお話しした通り、ピンネタは1人で行う分、コンビネタよりも表現が非常に難しくなります。

その事を前提としてピンネタを作る際、下記の部分に対して、コンビ以上に気を配らなければなりません。

【ピンネタをする際の注意点】
・ボケをできる限り分かりやすくする
・シュール・世界観のあるネタは避ける

ちなみに芸人間でもコンビを解散してピン芸人になった時「ネタの作り方が大幅に変わった」「変わりすぎてボケ方が分かんない」という話はよく聞く話です。

実際自分でやってみないと、実感しにくい部分かもしれません。

ボケをできる限り分かりやすくする

先ほどお話ししたとおり、下手したらスベることすらできないピン芸人、それには下記の理由が多く挙げられます。

【ピン芸人がスベる場合のネタは・・】
・いま「笑いどころである」という事が分かりにくい
・ボケがわかりにくい
・共感の得どころがない

いま「笑いどころである」という事が分かりにくい

ここが笑いどころ!とツッコミが入るコンビと違い、ピン芸人は笑いどころの提示から始めなければなりません。
これは結構重要で、ここが下手だと笑いどころが流れてしまいます。

笑いどころの提示は、

・言葉を立てる
・決まった音響をいれた後にボケる
・お決まりのフレーズを入れた後にボケる …etc

など、技術的なものからセリフや音楽を利用するなど、色々工夫を凝らして行います。

ボケが分かりにくい

スベる場合に多いのが、お客さんから見て「何の脈絡もなく、急にボケがくる」というものです。

この対処としては、しっかりと、丁寧にフリをいれましょう。
笑いは裏切り、裏切りはフリで作られます。
フリが雑だと、そのボケがどういう切り口なのかも分からないまま終わってしまうのです。

ちなみにピン芸人にあるあるネタや自虐ネタが多いのは、ボケとして老若男女問わずの分かりやすさがあり、自分がおもしろいと思っていることをシンプルに伝えやすいからです。

シュール・世界観のあるネタは避ける

シュール・世界観のあるネタは、分かりにくさの代名詞とも言えます。コンビで行う場合でも表現は難しいジャンルですが、ピンだとさらに難しくなります。

さらにそれを色んな客層に向けて万人がウケるようにするのは至難の業なので、基本避けた方が無難です。

ピンネタの種類

ネタの切り口ができた時、どんなスタイルがあるかを知っているとその切り口に見合ったスタイルを選択する事ができます。

ここではざっくりと、そのスタイルのセレクトに役立つよう、ピンネタの種類を紹介します。
ピンネタはほぼほぼなんでもあり状態なので、あくまでざっくりです。

漫談

センターマイクの前に立ち、自分のべしゃり一本で勝負するストロングスタイル。ピン芸人がカッコいいと思うスタイルNO.1です。

分かりにくい人は、漫才の1人バージョンだと思ってもらうと分かりやすいかもしれません。基本的に小道具や音は使わず、この日のために研いだネタのみで笑いをとります。

ちなみにネタの難易度も、NO.1(吉松ゴリラ調べw)。
道具を使わずしゃべり一本で勝負するため、相応の台本力・技術力がないと通用しません。

【漫談のメリット】
・お客さんに話しかけられる
(一般の方にはピンとこないかもしれませんが)コンビやトリオがバンバン舞台に立った後出てくるピン芸人は、人数が少ない関係から、お客さんの目を引く派手さがないです。やや寂しく感じる時さえあります。

ここで一度お客さんに自己紹介やら何やらで話しかけ注目をしてもらい、聞く体勢を整えてもらえるメリットは、結構デカいです。

参考動画:まん☆だん太郎「社会の底辺」
「漫談」というものを初めて見る人にとっても、分かりやすく、笑いやすいまん☆だん太郎さんのネタ。

※参考動画:街裏ピンクの街裏チャンネル
日本屈指の漫談家、街裏ピンクさんの漫談が満載のYouTube。
作品のクオリティ・その表現力の他、その数がヤバい。

フリップ

フリップと呼ばれる紙に絵や文字を書き、それを紙芝居のようにめくりながらネタを進めていきます。

ちなみにフリップはその手軽さと笑いの取りやすさから一時期大流行りし、R1の時期に「フリップネタが多すぎて審査員が飽ききっているので、フリップネタをやったら落ちる」とまで言われました。

【フリップのメリット】
・漫談同様、お客さんに話しかけられる。
・笑いどころがハッキリする(めくった時が笑いどころ)
・事前に笑いを誘う雰囲気のある絵や文字などを準備する事ができる事から、しゃべりだけで同じネタをするよりウケやすい。

※参考動画:ヒューマン中村「こと war the 辞典」
R-1グランプリ常連、稀代のフリップ職人ヒューマン中村さんのネタ。

1人コント

舞台上で、1人でコントを行います。

※コントって何?と思われる方は【漫才?コント?現役お笑い芸人が教える初めてのネタの作り方】をご覧ください。

相手役がいない中で行う1人コント。あたかもそこに人がいるかのように見せる、高い精度の演技力が要求されます。

ちなみに以前は1人でセリフを話しながらストーリーを進める手法が主流でしたが、最近では事前に相手役のセリフをCDに録音し、その音源と自分で会話をしながら進めるような手法も出てきました。

【1人コントのメリット】
・音や道具を使う事で、取れる笑いの幅が広がる。
・音や道具を使う事で、未熟な技術をカバーする事ができる。

※参考動画:紺野ぶるま「占い師」
The W 常連、その演技力に定評のある紺野ぶるまさんのネタ。

※参考動画:徳原旅行「誘拐」
音や道具を使う事で、めっちゃおもしろく仕上がってる徳原旅行さんのネタ。

パフォーマンス系

ショーアップされたパフォーマンスを行います。

2016年R1チャンピオンのアキラ100%さんや、2019年R1ファイナリストのだーりんずの松本りんすさんが挙げられます。

【パフォーマンス系のメリット】
・派手にできる
様々な道具を使い、音楽をかけ、見せ場を作る事ができるため、やろうと思えば思うだけ派手にする事ができ、TV映えします。

※参考動画:アキラ100%「ニュートンの振り子」
2017年R-1ぐらんぷり王者、アキラ100%さんのネタ。

歌ネタ・リズムネタ

ギターを弾きながら、もしくは音楽をかけて歌い、踊ります。または思わず口ずさんでしまいそうなリズムにのって、ネタを披露します。

基本的に歌を歌うなら一般人を超える美声、踊りを踊るのであればキレッキレのダンスが必要で、台本以外のパフォーマンス部分の一芸が必要になるジャンルです。

【歌ネタ・リズムネタのメリット】
・とにかくウケやすい。流行りやすい。
・フリの部分が音楽の力で聞いてられる(ピンネタはフリの部分、要は笑いが起きていない部分が、コンビネタに比べ、盛り下がりがち。しかし音楽を使う事で、そのピンネタのデメリットを解消する事ができる)

※参考動画:もりせいじゅ「勇者の剣」
「あしもとにおてもと」のリズムネタなど、この他にもたくさん参考になるもりせいじゅさんのYouTube動画。

その他

他にもありますが、何となくまとめます。

ギャグ系

ギャグをベースにネタを展開するスタイル。
ただ「ギャグ100連発!」などといってギャグを披露するのではなく、下記のように1ひねり加えてネタを行います。

・コントで物語を進めながら、ギャグを入れていく
・Lv.1→Lv.40→Lv.100… と、同じギャグをレベルを変えてやっていく …etc

モノマネ系

モノマネをベースにネタを展開するスタイルです。
対象のモノマネを忠実に行う場合もありますが、ギャグ系同様、下記のように1ひねり、なんらかの設定を加えてネタを行う場合が多いです。

・「もし(モノマネする人)が、(コンビニ店員…etc)だったら」という架空設定の漫談・コント
・「ネガティブな事しか言えなくなった(モノマネする人)」という架空設定の漫談・コント …etc

落語

ご存知日本の伝統芸能、落語。
「いやいや落語は20分も30分もするやつっしょ!」と思われる方もいるかもしれませんが、漫談に近い部分もあるため、3〜4分にまとめて披露される方もいます。

ただ普段芸人が立つ舞台では、ほとんど見かけません。けど、時々います。

まとめ

ピン芸人は、好きなネタを好きなだけできるというメリットがある反面、ネタが独りよがりになりがちです。

コンビの場合は、台本の段階で相方のチェックが入り、「ここが分かりづらい」とか「おもしろくない」など、第三者目線の意見を取り入れる事ができますが、ピンはいきなり舞台・本番です。

自分がおもしろいと思うだけではなく、ネタを客観視し、そのおもしろさを分かりやすく伝えるという視点を持つ事も、非常に大事です。

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。