現役お笑い芸人がこっそり教える!芸人が住みやすい5つのエリア
執筆:東大卒芸人 山口おべん
1988年生まれ。私立開成中学校・高等学校、東京大学文学部言語文化学科言語学専修課程卒業。W東大卒コンビとして「アメトーーク!」など番組出演。 2020年1月から、コンビで自身のみエージェント制を選択。芸人になった動機はいくつかあるが、一番は「モテたかったから」。
初対面の方に「私、芸人さん初めて見ました」とよく言われます。
そんなはずない、と僕は思います。
一説には、都内には1万人の芸人がいるそうです。名乗らないだけで、実はあなたが日常見かけている人にも芸人が交じっている可能性大です。
ということで、「住んでいる場所」という観点に絞って、こっそりパターンを教えちゃいます。
あくまで個人の主観ですし、事務所によっても違うと思いますが、特に芸人になりたいと考えている方は参考にしてみてください。
もし、この通りの場所で芸人さんを見かけても、くれぐれもいじめないであげてくださいね。
目次
新宿・渋谷など都心
メリット
劇場が多く、大手事務所も近隣にあります。飲食店などで芸人がアルバイトをしている場合も多いです。そのため、利便性を重視して芸人が住みます。
芸能界はまだまだ体育会系なので、業界関係者の方に急に飲みに誘っていただいたときにも重宝します。徒歩1時間くらいまで平気なら、いつでもどこでも参上の究極のフッ軽芸人が誕生します。彼の辞書に「終電なので」の言い訳は存在しません。
また、地味に大きいのが、フリップや大きな道具を電車に乗らずに運べること。フリップは作るのに手間もお金もかかる上に傷みやすいですから、どれだけ厳重に梱包していても、駅や電車内でぶつかられるとイラっとします。
デメリット
デメリットとしては、家賃を抑えるためにどうしても駅からの距離が遠くなること。家自体も、どうしても広さや快適さなど何かを妥協しなければなりません。
なので、芸人同士のシェアハウスのパターンが多いですね。共同生活に抵抗がなければ、ワンランク上の設備や環境で生活することができます。
幡ヶ谷・三宿など都心駅から1~2駅エリア
メリット
都心同様にアクセス重視です。都心駅からはタクシーもたまになら乗れる金額で、最悪歩けます。家賃相場も少しだけ下がり、物件数も増えるので芸人が多いです。
と同時に、このエリアになると車を持っている少し上の芸人さんも増えます。幹線道路や首都高のインターチェンジがあり、車だとむしろ都心駅より便利なのです。
街自体も、少し落ち着いたこだわり派のお店が増えますし、繁華街の喧騒がない点も家庭のある芸人さんに好まれます。
デメリット
デメリットとしては、どこへ行くにも乗換までの1~2駅分の電車賃が一々かかります。どの路線も新宿や渋谷が終点です。それならば、数駅先に住んでさらに家賃を下げる&駅近に住むという選択肢もあるわけです。
なので、この地域の若手芸人に多い特徴は分かりますね?「アルバイトで都心駅までの定期券を作る」です。
恵比寿・目黒・中目黒などオシャレグルメエリア
メリット
オシャレで、住みたい街としても人気のエリアです。主要駅でありながら混みすぎないところも利点です。
若いタレントさんも多いエリアなので、交友関係がそちら寄りだとこのエリアに住みがちです。
芸人がよく行くお店というのをよく聞くエリアでもあります。どんな若手でも必ず1軒は紹介できるお店を持っています。
先輩芸人さんが経営する飲食店も何軒かあり、アルバイトもほとんど芸人という場合が多いため、いくつかコミュニティーが存在します。
この地域に住む芸人は、どこか泥臭さがありません。良く言えば洗練されていてTV向きです。体育会系の文化はあるのに繊細なところを持ち合わせていて、飲むと真面目な話になります。サンプルは少ないですが。
デメリット
デメリットは、家賃相場は高いです。だからこそ、金にならないネタ作りをガリガリと何時間もするのではなく、アルバイトでお金を稼ぎつつ交友関係を広げるという発想になるのかもしれませんね。
大きな声では言えませんが、いかにコミュニティーに入って先輩に奢ってもらうかは重要です。
中央線沿線
メリット
中野や高円寺のような個性的な街もあり、ネタ作りの刺激になりそうなエリアです。
また、かつて中野に下積みの芸能人が多かったように、人気の住宅地となった今でも安い物件が見つかります。
このエリア最大のメリットは劇場が多いことです。事務所とは独立のライブ主催者の方が、数多くのエントリー制ライブを開催しています。同様のライブが多い新宿にも電車ですぐです。「ネタをじゃんじゃん作ってどしどしライブにかけたい」「芸人同士で切磋琢磨したい」という芸人らしい芸人がたくさん集まっています。
デメリット
デメリットは…何でしょう?
家賃にしろアクセスにしろ、何をとっても平均的に良いです。何か特定のポイントを重視すると選ばれない、「最強のスーパーサブ」かもしれません。
もっとも、一般ウケしない、クセの強すぎる芸人も多い気はします。
板橋区・川口市など家賃が安くなるエリア
メリット
これは駆け出しの芸人に多いです。
板橋区は特に吉本ですね。養成所が神保町にあるため、地下鉄で1本かつ家賃の安いエリアを選び、所属になってもそのまま住んでいるパターンです。
川口市は、東京都から荒川を越えて埼玉県に入り、家賃が一段階下がる穴場です。
芸人は収入も少ないですし、ネタの衣装代や道具代、ネタ作りや話し合いの飲食代など細かく出費がかさみます。最大の支出である家賃を浮かせられるのは大きいです。
部屋の広さや条件も、都心部より期待できます。
デメリット
デメリットは2つ。
1つ目は、交通費と移動時間が逐一かかることです。移動時間を有効活用したり、その分駅近に住めたりすれば十分ですね。
2つ目は、終電が早かったり急なお誘いに対応できなかったりすること。人脈と信頼が仕事に繋がる世界なので、芸歴を重ねて都心部に引っ越す例も多いです。朝までオールする元気があったり、いざというときに泊めてくれる知人がいたりすると長続きします。
また、都心部を離れるほどアルバイトの平均時給は下がります。住まいと並行して働き先も考えておかないと、割の良いバイトを求めて片道1時間弱…となることも。
もっとも、定期券を作るためにあえて都心でアルバイトをする人もいますが。
まとめ
ここまで5つのパターンを書いてきました。
こうして見ると、住む場所に芸風や将来が左右されている部分があり、とても面白いです。
しかし、実はまだ全く触れていない要素があります。それは、
「相方がどこに住んでいるか」
です。
コンビやトリオの芸人にとって、月に数回行くだけの劇場より、週に数回会う相方の家が近い方が重要です。近くに練習できる公園があれば文句なしです。
あなたの家の周りにも、芸人は住んでいるかもしれません。
執筆:東大卒芸人 山口おべん
1988年生まれ。私立開成中学校・高等学校、東京大学文学部言語文化学科言語学専修課程卒業。W東大卒コンビとして「アメトーーク!」など番組出演。 2020年1月から、コンビで自身のみエージェント制を選択。芸人になった動機はいくつかあるが、一番は「モテたかったから」。