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フリートーク・MC力アップ!お笑い芸人直伝の平場で笑いをとる方法

連載
公開日:2020年12月23日 更新日:2021年1月5日

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。

みなさんこんにちは。
芸歴10年目。ペットボトルに入れた水道水を弁当とよんでる、吉松ゴリラです。

今回はお笑いの勉強法〜平場編〜についてお話しさせていただきます。前回に引き続き、少し実践的な努力の仕方、財産になるようなお話しをできればと思います。
※「平場ってなんなの?」「ネタと平場の笑いの取り方に違いってあるの?」という方は、
前回の【お笑いの勉強〜ネタ編〜】にまとめてありますので、気になった方はお読みください。

ちなみに一般の方が「トーク力を上げたい!」と思うのであれば、ネタ編よりも、この平場編の方が役にたつと思います。

【今回はこんな方におすすめ】
・今から芸人を目指す人
・日常生活のトーク力を上げたい方
・初対面相手でも笑いを取りたい方



お笑いの平場とは


前回少しお話ししましたが、舞台で芸人が出る場面は、主にこの3つです。
・漫才やコントのネタ部分
・コーナー
・エンディング(フリートーク)
その中でコーナー、エンディングが平場と呼ばれるんですが、もっと簡単にいうと、ネタ部分以外は全て平場です。

みなさんがTVで目にする芸人がとっている笑いのほとんどが、実は平場で、そうすると売れる売れないの中核を担っている重要な部分と言えます。

勉強という意味で言うと、「ネタは奥が深い」のですが「平場は範囲が膨大」です。

ただ逆にネタと違い日常生活で使い勝手のいい部分でもあるので、毎日楽しみながら使ってもらえると幸いです。

【今回のポイント】
・MCレベルが上がる!グーチョキパー理論!

MCレベルが上がる!グーチョキパー理論!

グーチョキパー理論はぼくが勝手に使ってる名称ですが、のちのち説明がしやすくなるため、そのまま使わせてもらいます。

めっちゃ簡単にいうと「笑いの引き出しを増やす」という事なんですが、この理屈を理解した上で力をつけていけば、一般の方がMCするより、「場のマワしがうまい」となると思います。

逆に芸人レベルでMCやるなら必須能力です。つかこの能力ない人がMCやらせてもらえる事はないと思っていいです。

一般の人のMCと、芸人のMCの違い

これはマワしのレベルの差も当然ありますが、絶対的に違うのが笑いをとる引き出しの数です。

一般の方のほとんどが、ジャンケンで言うと1つの手しかだせません。グーしか出せないんですね。

例えば一般の方で「おれ結構人イジっちゃうんだよね」とかいってくる、自称おもしろMCの9割以上が「下げ(さげ)」の笑いしかできません。つか9割っていってますけど、実際10割かも??
とにかくこれしかできません。

【下げ(相手を下にする)の笑い例】
・パワハラ系の笑い
・セクハラ系の笑い …etc

相手に「一発ギャグやってよ」といってやらせて「はい、スベりましたね」とか、「すべらない話してよ」といってオチまで話させて「・・からの〜〜??」を連打したりとか、「おまえブスだな、◯◯みたい」と容姿イジりをしたりとかがそうですね。

とにかく「自分の方が上、相手の方が下」という関係性で成り立つ、下に置いた相手をせめる笑いと思ってもらっていいです。

グーチョキパー理論

「下げ」の笑いは一番やりやすいので、一般の人が多く使います。

ここで問題は「下げの笑いをする事」ではなく、「下げの笑いしかできない事」です。

ジャンケンで言うと、ずっとグーだけで闘おうとしているのです。

これはみなさんもお分かりになると思いますが、ジャンケンで天下をとろうと思ってる人からすると、未曾有のザコですね(笑)。

チョキを出してくる相手に、勝つ事もありますが、当然勝率はずっと変わらないでしょう。

逆に「下げの笑いしかできない人」は、「会社の社長や役員しかいない」みたいに下げの相手がいない場合は、突然勢いを失います。とれる笑いは激減します。
せいぜいが相手をよいしょして、微笑みを引き出してるくらいではないでしょうか。

これは自分の不得意分野、相手がパーだからです。

グーもチョキもパーも出せるようになろう!

笑いの引き出しを多くするという事は、ジャンケンでどの手も出せるようになる事と同義です。

そうすると、先ほどのようなグーしかだせない人とカラんだ場合、こちらで会話の主導権を握れます。
「会話の流れをコントロールできる」ようになるのです。

例えばジャンケンで言うとこんな事が可能になります。

【会話の流れのコントロール:相手はグーしか出せないから・・】
・チョキをだして相手に華を持たせてみる
・グー・グー・グー・・と連続あいこで盛り上げておいて、最後にチョキを出して、相手の劇的な勝利を演出してみる
・たまにはパーで勝って、周りが飽きないようにしてみる
・ハナからパー連打して、潰すw …etc

ぶっちゃけこれがうまくできるようになると、会話レベルの差から、相手は主導権握られてることすらあんまり気づかなくなります。

そもそも一般の人の感覚だと、自分がジャンケンでグーしか出せてないという自覚すら、あたまにないでしょう。

相手的には「いつもと同じ事してるのに、なんか今日は、いつも以上に盛り上がるな」くらいの認識です。

ただそこまでいくとMCレベルは1段上がっているので、喜ばしい事ですね。ひとりで裏のフィクサーを気取りましょう(笑)。

笑いの引き出しを増やそう

先ほどグーチョキパーで例えましたが、笑いには3種類どころではない、たくさんの引き出しがあります。どんどん増やしましょう。

増やし方は、「いつもこんな時この種類の笑いを取ってたから、今日はこの種類の笑いをとりにいってみよう」と、毎日の会話の中、自分で勝手に遊んでたら知らずに増えます(笑)。

例えば合コンで、毎回女の人の容姿をイジるような下げの笑いをとっていたとしたら(そんなヤツがいるかどうかは知らないすけどw)、過剰に褒める笑いのとり方を試したりする感じです。

そのために、まずはどんな種類の笑いがあるかを知りましょう。なんとなく下記まとめてみました。

ちなみに下記まとめは「笑いの引き出しを増やす」という事を目的にしたジャンル分けなので、単純な「笑いの種類」というよりは「笑いをとる時のスタンスの種類」という表現が近いです。
キャラクターの種類と言い換えてもいいかもしれません。

なので「相手にツッコむ笑い」や「リアクションを大きくとる笑い」なんて笑いの種類もありますが、それは分類した各々のジャンルの中でやればいい事なので、省略します。

下げの笑い


先ほど少し紹介した下げの笑い。相手を下に置く関係性から生まれる、「相手を否定する笑い」が主軸になります。

ちなみに芸人を目指す方でこのジャンルで笑いを取ろうと思うなら、基本的に「自分が相手を下げた瞬間に笑いをとる」ということを前提に考えましょう。

どういうことかというと「相手の返しのコメント」や「相手のリアクション」がくる前、「自分のセリフを言い終わった瞬間に、笑いになっている」という事です。

なぜかというと、ウケていると気づきにくいですが、仮に「相手の返しのコメント」のあと笑いになっていたとしたら、それは「相手側の返しセンスで笑いになっただけで、それは相手に助けてもらっただけ」で、「自分は相手をただ下げただけ」だからです(お互いがもともと知ってるくだりとかをやってるのであれば別ですけど。まあ信頼関係によりますね、これは)。

言い方を変えれば、返しコメントが全くない人相手では笑いになってなかったという事です。

「下げの笑いをして、その上で相手に助けてもらう」というのはかなりダサく、それをやってしまった芸人が後で楽屋でイジられることもしばしばです(笑)。

ちなみに下げの笑いはある意味超初歩で誰でもできるため、芸人は基本さけます。誰でもできるので。

芸人内で一定数、「下げの笑いがメインの芸人はダサい」という認識もあるジャンルです。

【下げの笑い例】
▶︎パワハラ系
・無茶振りをし、スベらせる
・唐突に頭たたいたり、Tシャツ破いたりと無茶をする…etc

▶︎セクハラ系
・容姿を悪くいう
・着てる服装を悪くいう…etc

毒舌

下げの笑いに似てますが、下げの笑いが「相手を否定する」笑いである一方、毒舌は「相手の本質を斬る」という笑いです。

簡単にいうと相手に対して「NO!」を突きつけるのではなく、「おまえってこういうやつだよな」と言い当てる笑いです。

本質をつくため、毒舌をいう本人にある程度の説得力が必要で、その上「この人がいうならしょうがない」という相手の印象も必要のため、キャラクターを選ぶジャンルです。

ちなみに「あたし毒舌って言われるの」といって、芸人相手に好き勝手ほざいてくる女の100%は、ただの悪口です。

【毒舌の笑い例】
・誰もがいって欲しかった事を代弁する
・本質を斬る
・特徴として、斬った後、聞いてる人にスカッとした爽快感がある(←ここ大事!これが大事だから、言う本人のキャラクターが大事になります)

自虐の笑い

下げの笑いが「相手を下げる笑い」であることに対し、「自分で自分を下げる笑い」です。

『あなたは◯◯(相手を立てるコメント)なんすね、ぼくなんか◯◯(自虐)っすよ』

このセリフは、芸人がよく使う定型文ですね。
このように相手と対比すればどこにでも差し込めるというメリットがあり、ウケやすいため、いくつか持っているとスーパー便利です。

【自虐の笑い例】
・貧乏に関する自虐
・容姿に関する自虐
・学力に関する自虐
・家庭環境に関する自虐 …etc
※要は自分を下げれればいいんで、材料はなんぼでもあります

褒めの笑い


「相手を上に上げる」笑いで、最近注目を集めてる傷つけない笑いでもありますね。
自虐の笑いと正反対で相手をほめることで生まれる笑いです。

また褒めの笑いの後、それをフリにした自虐話でもう一つ笑いがとれるなど、これができればトークの幅が一気に広がります。

芸人になりたい人・・ってかピン芸人になりたい人は必須です
(コンビは最悪相方ができればいいんで)。できて損はないジャンルです。

【褒めの笑い例】
・相手のいいところを過剰にいう
・相手のいいところを軸にした、感想などをいう…etc

文章にするとほぼ1言なんですが、その取り方は自分や相手のキャラクターによって様々です。
TVで大物女優やアイドルさんなど、芸人が気を使わなければならない人、基本下げることができない人が来たときのカラみを見てください。

例えばお金持ちが大きなダイヤしてたら
「デカすぎません!?◯◯くらいありますよ!」・・とナイスな例えで笑いをとったり

女芸人がモデルに
「『綺麗すぎて』ハナにつく」・・と、相手の良いところを認める前提の悪口をいってみたりと、いろんな取り方をしています。

ちなみに鬼蛇足ですが、ぼくが聞いた中での褒めの笑いBest.1は、バイキングの小峠さんが、ゲストの女優さんをまじまじと見つめて爆笑をさらった、
「へーー・・これが透明感ってヤツかい!」
の一言です。鬼蛇足でした。

構成の笑い


難易度高めです。漫才やコントの台本にあるような、構成的な笑いをします。ただできるとめっちゃ芸人臭が強まります。
芸人臭が強いのが良いことか悪いことかは不明ですが(笑)。

構成の笑いは複数ターンの会話が必要になるため、相手の協力も必要です。ただ一般の人相手に会話をするので、相手の返答で欲しいセリフがくるように自分のセリフを調整したり、どの返答が来ても対応できるような構成で話をします。

【構成の笑い例:日本が知ってる代表例】
・「おすなよ、おすなよ」のくだり
・「おれがやる、おれがやる・・じゃあおれがやるよ!・・どうぞどうぞどうぞ」のくだり…etc

上の例は日本中が知ってるので相手を選びませんが、こんな感じの、数ターンを要する構成をその場で作って仕掛けます。
その場でゲームを作る感覚に近いかもしれません。

【構成の笑いの例2:こんな感じでもいい】
・例えばビジネスマン飲み会で1人以外全員がApple Watch持っていて、「なんで持ってないの?」とみんなでそれをイジってたとして

A:え?◯◯さん 社会人なのにほんとにApple Watch持ってないんですか?
B:はい
A:え? スーツもってます?
B:はい
A:ネクタイ持ってます?
B:はい
A:革靴もってます?
B:はい
A:Apple Watchもってます?
B:もってないです
A:なんでですか?? え? ほんとに持ってないんですか
B:はい
A:え? お葬式の時ってお香典渡します?
B:はい
A:結婚式の時ご祝儀渡します?
B:はい
A:親戚の子にお年玉って渡してます?
B:はい
A:Apple Watchもってます?
B:もってないです
A:なんでですか?? え? 会社に遅刻とかしてないです?
B:はい …以下延々につづく

構成としてはシンプルです。
多数がApple Watchをしてるという事から「社会人なら当然Apple Watch持ってるっしょ!」と歪んだ価値観の設定を作り、
①社会人がしてる事をいくつか挙げる
②その後Apple Watch持ってるか聞く
③これを延々に繰り返す

この構成を使う事で「もってない」と何度も聞いた言葉を引き出す遊びみたいなものができあがりました。

ちなみに先ほど少しお話しした通り、構成の笑いは芸人臭が強いため、全く知らないくだりをその場で作って仕掛けてウケたとしても、一般の人はあまりのってきてはくれません。

ウケてる間は一人でドリブルし続けましょう(笑)。

まとめ

今回はお笑いの勉強方法〜平場編〜をお話しさせていただきました。
自虐一つとっても色んなパターンの笑いの取り方があるため、実例はバラエティ番組などを見てみてください。
またここでは紹介しきれていない笑いの取り方もたくさんあります。

是非色々試してもらって、みなさんの日常に笑顔が増えると幸いです。

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。