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売れないお笑い芸人がすべきこと!売れなかった後の芸人の末路とは

連載
公開日:2023年6月9日

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。

今でこそTV以外の媒体が増えてきたが、ほんの10年前までは養成所生1000人の内3組売れたら黄金期と言われていた。

つまり、99%が売れなくて当然の世界なのだ。それでは現在売れていない芸人たちは、日の目を浴びるために、何をしているのか。

今回は売れていない芸人が売れるためにしている事の一例と、芸人が売れなかったその後の話をご紹介させて頂く。

是非、最後までご一読頂きたい。



売れないのならば、売れにいけ!売れていない芸人が売れるためにしている事!

日の目が当たらないからといって、何もしないと絶対に売れる事はない。
芸人とは、運で売れるのではなく、自ら売れにいくものなのだ。

ここでは、売れていない芸人が売れるためにしている事の一例を、カテゴリ分けしてご紹介させて頂く。

これぞ芸人!ひたすらネタを作る人々!

鬼神の如くネタを作り続ける超ストイックタイプの人々。
このタイプはネタというものに対して、頭のネジが2、3本千切れ抜けている場合が多い。

彼らは「おれたちが売れるとしたら、ネタである」と尋常ではない腹の括り方をしており、逆に道が一つしかないからこそ全生命力をかけてその道を進む。

極稀に彼らの中には「1年間でネタを100本作る」といった修行中のお坊さんも逃げ出す荒業を執り行う者も存在し、それを達成した者は芸人の中で阿闍梨と同じ扱いを受ける。

ちなみに賞レースを目指している芸人が作る新ネタの本数とライブ数は、最低新ネタ4本以上/月、ライブ本数20本以上/月。

週5で8時間働くバイトの隙間を縫って新ネタを作り、数日稽古をし、その後ライブにかけ、更にウケなかった所を修正した改良ネタと同時並行で別の新ネタを作る。

場合によってはその間YouTube・TikTokの撮影までこなす芸人は、間違いなく公務員級の努力はしている気がする。

ちなみにガチ勢は、倍はやる。

手堅い特技!資格の勉強をする人々!

ネタと同時並行で、武器となる資格の勉強をする人々。

このタイプはある意味仕事として勉強を行う為、時に大学受験並みの勉強量を誇る。

勉強したくないから芸人になった過去と矛盾する行動を噛み締めながら、今日も彼らは机に向かう。

ちなみに売れない芸人にとって、知識・技術は武器となる。
話に説得力を持たせる事ができるのだ。

なぜならTVの世界は分かりやすさが重要。
情報を発信する際、「誰が発言するか」は非常に重要なポイントとなる。

情報番組でわざわざ中継を繋ぎ、「◯◯大学教授」に出演してもらうのは、その発言に権威と説得力を持たせるため。

同じ情報なら「取材で◯◯先生がこう言っていました」とアナウンサーが情報を伝えればいいのだが、手間と時間をかけ現場で出演してもらうのは、「説得力をもたせる」という事がそれだけ重要な要素だから。

そしてその説得力を持たせるのは、「◯◯大学教授」や「資産◯◯億社長」などの肩書きである。

つまり、何のバックボーンも持たない若手芸人にとって、「資格」とは誰もが納得する「詳しさの証明」となる。

売れていない芸人がTV出演を考える場合、「◯◯に詳しい」というザックリとしたレベルでは呼ばれない。

なぜなら、メディアの王様TVでは、その「◯◯の専門家」すら余裕で呼べるのだ。売れてない芸人には、「芸人として」の価値は無い。

知識で呼ばれたいのであれば、「◯◯の資格を持っている」「◯◯に詳しくて10冊ほどその専門の本を出版している」という「専門家レベル」の肩書きが必要なのは明白なのである。

爆発する才能も多数!文章を綴る人々!

ひたすらPCの前に向かい、ひたすら文章作りに励む人々。

ネタを書いているから文章も書けるだろうという、非常に安易な三段論法からブログやアプリを使い文章を書き溜める。

しかし、それがモノになる芸人も多数。
そう、安易と思いきや、芸人はネタを書いているから文章も書けるのだ。

ホームレス中学生にて麒麟の田村さんが大ブレイクした際、自身の仕事が少なくなってきた麒麟の川島さんが、ただひたすらブログを書き綴っていたのは有名な話。

また、最近ではバイク川崎バイクさんがコロナの自粛期間中、「note」にショートショート小説を投稿し、単行本化されたのは記憶に新しい。

クリエイティブな発想と言葉選びのセンス、およそ表現の基礎となる部分については普段から鍛えに鍛えられている芸人たち。

彼らの成功は、芸人として継続してきた努力の上に成り立っている事は間違いない。

しかし中には、文字の世界においても誰からも評価をされない闇芸人がいるという事実にも触れておく。


芸人をしたいけど・・売れないとどうなる?

「芸人って、売れないとどうなる?」。
これは現在芸人志望の方が、ネタの作り方と同様、一番不安に思う項目の一つではないだろうか。

ここでは、大きく3つにカテゴリ分けしてご紹介させて頂く。

おれはもうやりきった!完全に足を洗う人々!

芸人を辞め、お笑いから遠ざかり、ライブに足を運ぶ事もない・・完全に一般人となり、普通の社会へ戻っていく人々。

彼らは時に居酒屋の店長、不動産会社の営業、イベント会社の社員などありとあらゆる場所に散っていく。

基本的にバイト先にそのまま就職パターンか、口の上手さを活かし何らかの営業マンになるパターンが多い。

ちなみに体感、辞めた芸人の99%がこのカテゴリに入る。

このカテゴリに入る芸人は、「スッパリ芸人を辞め何の後悔もない完全一般人同化タイプ」と、「TVバラエティすら見れなくなる未練タイプ」に分かれる。

「完全一般人同化タイプ」は、TVに出ている芸人の知り合いである事をつまみに、その芸人のある事ない事を酒の席で吹聴する。

ほぼ面識もないただの同期の事を戦友と呼び、養成所時代遠くから見ていた売れっ子のネタを寸評する。

一般人に同化しているが故、そこに何の恥じらいもなく、むしろ売れている芸人の知り合いである己に酔う。

時々呼ばれる飲み会では何となく場を回し、おもしろいと言われれば昔芸人をやっていたと自ら進んで発信し、「また芸人になったら?」という浅いおだてに気を良く酒を飲む。

「芸人をしていた」が、青春時代の思い出の一コマと化しているタイプ。

彼らの多くは、芸人をそこまで本気でやっていなかった人間がほとんど。

そこまで本気でなかったが故に悔しさも少なく、悔しさが少ない故に売れてる同期にコンプレックスも持たない。恐らく芸人を辞めるのならば、一番幸せになるタイプ。

逆に「未練タイプ」は、ある意味芸人を辞めて一番不幸になるタイプと思われる。

彼らの多くは心の底からお笑いが好きで、芸人時代に本気で芸に打ち込んでおり、全生命力を賭けて舞台に臨んでいた。

そのためそこで結果を出せなかった事に対する悔しさが強く、バラエティ番組すら見れなくなる事も多い。

やりきった上での引退で納得はしているとはいえ、芸人という居場所を失い、大好きだったお笑いすら失った彼らは、心にぽっかり大きな穴が空いているような感情で日々を過ごす。

ただ、このタイプはそれをバネに這い上がる力もあり、次の仕事で成功をする事も多いのだ。

仕事をしながらネタをやる!趣味で芸人を続ける人々!

芸人は引退するが、ネタをやる事は好き・・そのため間をとって、趣味でお笑いを続ける人々。

体感、納得いくまで挑戦できず、家庭の事情など止むに止まれず引退した芸人に多いイメージ。

現在東京にはたくさんのライブが存在し、そのフリーライブのほとんどがアマチュアでの参加が可能である。

つまり、ネタさえあればいつでもライブでネタをする事ができる訳で、休日の楽しみとして趣味でライブを続ける事ができる。

しかし、個人的な感覚としては、このタイプはほとんど芸人界に存在しない。

最初は趣味で続けると言っていた彼らも、中々ネタの作成時間やライブ時間を取る事が難しくなる。

本業となった仕事もそんなに甘い仕事ではないだろうし、ネタ作りも「ウケるネタを作りたい」と思ったらそれなりに時間がかかる。

芸人をストイックに続けていた芸人ほど、舞台に立つ度に己の力が落ちている事を実感する時間は非常に辛い。

あの頃であれば取れていた笑いが取れなくなり、あの頃なら入れたトークの隙間に、入ろうとしても入る言葉が思いつかない。

「ウケない」事がキツいのではない。
本来自分の全力であれば笑いを取れていたのに、その全力が出せない事がキツいのだ。

じわじわと真綿で首を絞められるような思いは、本気で芸人をやっていた人間ほどキツく感じてしまうのが現実。

人生すなわち芸人だ!無理矢理芸人を続ける人々!

売れようが売れまいが、無理矢理にでも芸人を続ける人々。

彼らは日々バイトをし、バイト先の最年長になり、店長も年下という憂き目にあいつつも「芸人」という自分の生き方を貫いていく。

そう、彼らは心の底からお笑いを愛しているのだ。

どんなに「お笑いが好き」と言っても、ほとんどの人間は現実との折り合いをつけて辞めていく。

その現実とは自分なりの期限であったり、才能の限界であったり、相方との解散であったりであったりする。

また、20代までは何となく「ただ好きだから」でお笑いを続けている芸人たちも、30代になり、40代になると「芸人を続ける事ができない理由」というものが増えていく。

それは愛する人との結婚であり、実家の都合であり、自分の将来設計であったりする。

しかし、芸人を続けるという事は、これらの「芸人を続ける事ができない理由」を全て破棄し、その上でお笑いを取るという行為に他ならない。

普通の幸せを捨ててでも、賭けたい夢がそこにあるのだ。

そうしてこの世界には「ただ好きだから」の人間は辞め、「本当に好きだから」と、自分の人生を捧げたい芸人だけが残っていく。


まとめ

今回は売れない芸人が何をしているか、そして芸人が売れなければどうなるのかについて書かせて頂いた。

やや暗い内容になってしまったが、それでも芸人という職業を選んだ人間は、どんな時も本気で売れにいっている。

そう、売れれば人生逆転大万歳。それがこの世界の真実でもある。是非、芸人を目指す際の判断基準の一つにして頂きたい。

このコラムがみなさんのお役に立つと幸いだ。
ご一読、ありがとうございました。

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。