2021年ピン芸人として売れるための方法・ピン芸人として向いている人を解説
執筆:吉松ゴリラ
SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。
みなさんこんにちは。
芸歴10年目。アンクルパンツが2バウンドする足の短さを誇る、吉松ゴリラです。
このコラムを読んでもらうと
・ピン芸人としてネタで売れたいのであればどうすれば良いか
・ネタ以外で売れたいのであればどうすれば良いか
・どういった人がピン芸人向きか
が分かります。
是非、最後までご一読ください。
※ちなみにこのコラムは『最近のお笑い界のピン芸人の事情・立ち位置、コンビとの売れ方の違い』の続きとなっております。
ご興味ある方は、こちらもご一読ください。
目次
ピン芸人で、ネタで売れたい人
ネタで売れたいのであれば、恐らく下記3つに絞られると思います。
【ネタで売れたい人は・・】
・R-1グランプリで優勝狙えるくらいおもしろいネタを作る
・超個性的なネタを作る
・ものまねを磨く
R-1グランプリで優勝狙えるくらいおもしろいネタを作る
🏆R-1グランプリ2021🏆
新生R-1の頂点に輝いたのは
ゆりやんレトリィバァ🌟見事、THE Wとの2冠達成です👑👑
おめとうございます🎉🎉#R1 #R1グランプリ2021 pic.twitter.com/BRAqvLUqAE
— R-1グランプリ (@R1GRANDPRIX) March 7, 2021
前回のコラムでお話しした通り、今のところコンビ芸人に比べて、ピン芸人はネタで不利です。
その中で王道のネタを作って呼ばれるには「このネタにはスポットを当てざるを得ない」というレベルの結果を出さなければなりません。
日本一のピン芸人を決めるR-1グランプリのファイナリストが、最低条件と思っていいでしょう。
ちなみにM-1グランプリ・キングオブコントは、準々決勝くらいから、ネタ番組のディレクタークラスが見にきていて、そこでおもしろいと感じた若手芸人がTV番組に呼ばれたりします。
しかし今のところ、R-1グランプリではそういう話はあまり聞きません(見にはきてるんでしょうけど)。
確実性を狙うなら、R-1グランプリのファイナリストクラスでないと厳しいでしょう。
蛇足ですが・・
今少し女芸人ブームが来ています。女芸人目指してる方は、「THE・W」はかなり狙い目だと思います(こういう言い方をするといやらしいですが・・あくまで戦略的に考えたいのであれば)。
理由としては、「ファイナリストにならないと注目されないR-1に比べて、もう少し手前の準決勝くらいでTVに引っ掛かるのではないか」という予測が挙げられます。
※ちなみに、2020年の「TEH・W」は、1回戦→2回戦→準決勝→決勝
コンビ・ピン入り乱れての闘いを売りにする「TEH・W」には、ピン芸人の枠が存在する事が予想されます。
てかまあ、存在するでしょう。
「悪夢のように今年は女ピン芸人がおもしろくなさすぎた!」という事がない限り、数名は決勝ステージにいけるはずです。
そうするとその手前の準決勝まで当然ピン芸人の枠も複数あります。
その上でブームの場合、「次世代女芸人」を探してるTV業界関係者は必ずいるので、そこで引っ掛かればTV出演にもつながります。
それでも準決勝進出しなければならないで敷居は高いですが、R-1ファイナリストになるよりはまだレベル的には高くないと思います。
ちなみに「優勝はもちろん狙いたいんだけど、TV出演のきっかけも重点的に狙いたい」と考えるのであれば、少し他と違う超個性的なネタをすると良いかと思います。
具体的には「他の男芸人ではできない、あなたの人柄・個性・キャラクターが分かるネタ」です。
ただのフリップネタだと、男芸人でもいいじゃんとなります。
ただのものまねだと、すでにやってる芸人は鬼ほどいます。
女の子なのに元自衛隊所属のやす子さんだったり、女の子なのにめっちゃやさぐれてるヒコロヒーさんだったりと、他の芸人にない特徴がでるネタです。
「男芸人では、できない」かつ「女芸人で、今までそんなヤツいない」のネタが出来ると、現在の需要にスーパー合っているので、かなりの確率で引っかかると思います。
超個性的なネタを作る
Hi Justin! JUSTICE!!!!!!!!!!!!!#JustinBieber #JUSTICE #サンシャイン池崎 #ジャスティスpic.twitter.com/AGyfiqjqVh
— サンシャイン池崎 公式の極→ (@ikezaki_YEAH) April 8, 2021
個性の出し方は色々ありますが、一般的にはキャラ芸人なんかが分かりやすいですね。
【超個性的なネタをしてる芸人】
ハリウッドザコシショウさん
アキラ100%さん
サンシャイン池崎さん
永野さん
スギちゃんさん …etc
超個性的なネタとは
超個性的なネタをもう少し具体的にいうと、【1回見たら「おもしろい」「おもしろくない」は別にして「覚えられる」】ネタです。
そういうネタが高い完成度でできるようになると「おもしろさ」ではなく「インパクト」でTVに呼ばれます。
もちろん「おもしろさ」と「インパクト」を、両立できれば最高です。
ピン芸人はコンビに比べてパッと見の分かりやすさというのはかなり大事で「黒ジャケットのセットアップに白Tシャツ」みたいな有象無象のピン芸人は、基本的にフォーカス当たらないと考えてもらっていいと思います。
そっちで行きたいのであれば、R-1ファイナリストを目指しましょう。
みなさんがネタで覚えてるピン芸人は、ほとんど漏れなくこの特徴が当てはまると思います。
ちなみに超個性的なネタかどうかの確認方法は簡単です。
ライブ終了後、お客さんに自分のネタを覚えているか聞きましょう。
ライブに来たお客さんは、ライブ終了後、ほぼ全ての芸人のネタを覚えてません。
20組、場合によっては30組連続で見るわけで、「誰がどのネタやった?」「あーなんかそんなネタあったっけ?えっと、あれ、どんなネタだっけ??」状態になります。
大体、覚えてて2、3組です。
そんな中、超個性的なネタは、「おもしろい・おもしろくないは別にして、覚えて」います。
上にあげている芸人のネタは、ウケていようがスベっていようが、とりあえずどんなネタかは覚えているはずです。
とりあえず一度見たら忘れない、強烈なインパクトを残すネタを作りましょう。
超個性的なネタの注意点
ちなみに超個性的なネタの注意点は、インパクトが強い分、かなりの確率で飽きられるという事です。
同じネタが飽きられるというよりは、ベースとなっているキャラクター自体が飽きられる事になるので、新ネタを作ればよいというものでもありません。
キャラ芸人で一発屋と呼ばれる人が多いのが、このためです。
徐々に変化をつけたり、自分のパーソナルな部分にフォーカスを当てたりして、飽きられないような工夫が大切です。
TV番組に呼ばれるピン芸人のネタ二極化してきている
最近の傾向だとTV番組に呼ばれるピン芸人のネタは、下記の二極化な気がします。
・R-1ファイナリストレベル
・ぶち抜きで最下層のレベル
要は、M-1グランプリなどで見られる準決勝レベルの芸人がTV番組によばれないだけでなく、漫才では絶対にあり得ない、むしろ最下層クラスの地下芸人がTV番組に呼ばれるという現象です。
これは先程のお話しの、「芸人なのに上手にネタができない」が、キャラクターとして捉えられているからだと思われます。
ものまねを磨く
ものまねがバズれば、即売れます。
ただ、ものまね芸人の特徴なんですが、売れている期間もあくまで「ものまね」の需要であり、「演じている芸人本人」には需要がほとんどありません。
そのため、芸人本人にフォーカスが当たるような番組とかには基本的に呼ばれません(「おしゃれイズム」とか)。
そしてこちらもキャラ芸人同様、一定の期間を経た後、かなりの確率で飽きられます。
なのでバンバンものまねを作っていかなければなりません。
ただキャラ芸人と違うのは、その芸人が飽きられる訳ではなく『「その芸人が」演じてる「ものまねのキャラ」』の掛け合わせが飽きられるだけなので、他のキャラで再度ブレイクもしやすいです。
あと、定期的にものまねグランプリ的なものはあるので、真面目にものまね磨いていれば、そこでTVに呼ばれます。
ネタ以外で売れたいなら
【寝心地最高】踏んで膨らませる!ニーモのエアマット【NEMO COSMO 3D LONG WIDE】 https://t.co/HiaU7x2KYf @YouTubeより pic.twitter.com/g67N8InLcd
— たけだバーベキュー(キャンプ好き) (@TAKEDA_BBQ) May 28, 2021
ピン芸人でネタ以外で売れたいのであれば、下記方法が有効です。
【ネタ以外で売れたいなら】
・YouTube・SNSで売れる
・OnlyOne芸人で売れる
YouTube・SNSで売れる
ピン芸人がYouTube・SNSで売れるためには、チームを作れると有利です。
ここもコンビ芸人に比べるとピン芸人の弱い所で、コンビ芸人は「舞台用のネタ作り担当」と「YouTube・SNS担当」を分けて行う事がほとんどです。
YouTube・SNSに売れようと本気で取り組むのであれば、「ネタ出し→台本作成→動画撮影→動画編集→アップした動画の分析→分析を踏まえて次のネタ出し・・」を延々ループして、バズるまで根気強く行わなければなりません。
そもそも芸人は週3〜5日のバイトの隙間をぬって舞台用のネタ作り・稽古・ライブ出演を行います。
さらに上記作業が加わったら、売れるか、売れる前に死ぬかのDead OR Aliveに身を投じる事になります。
そこを理解した上でストイックに1人でやっても全然いいのですが、一緒にYouTube・SNSを作ってくれるチームを作れれば、他のピン芸人に比べて有利になります。
OnlyOne芸人で売れる
以前ご紹介した、『若手お笑い芸人必見!芸歴10年が語る売れる芸人に共通する3つの特徴』でもお話ししたOnlyOne芸人。
簡単にいうと、他の誰にも代えが効かない、知識や特技を持っている芸人です。
【OnlyOne芸人の例】
・BBQに異常に詳しい:たけだバーベキューさん
・家事の時短テクニックがエグい:“家事えもん”こと松橋周太呂さん
・その他:家事がめっちゃ得意芸人、料理めっちゃうまい芸人…etc
上に記載している芸人は、それぞれそのジャンルで本も出版しているほど、各ジャンルに精通した知識と技術を保持しています。
ピンポイントでよばれるこの枠は、他の誰にも代えが効かない分、がんばれば呼ばれます。
しかし現状、「芸人として大ブレイク!」とまでいった人は、おそらくいないと思います。
それはOnlyOne芸人は、芸人というよりその知識が求められる場合が多く、TVが自分の得意ジャンルを毎日取り扱ってくれれば毎日でれるけど、中々そう上手くはいかないよねという感じだからです。
そのジャンルがブームになれば、キャンプ芸人のヒロシさん(厳密にはちゃんとネタで売れてからのセカンドブレイクなので、OnlyOne芸人とは違うのですが、分かりやすいので・・)のように番組を持てたりしますが、結構な運が必要です。
ただ、そもそもTVに出れる芸人が一握りの中、ピンポイントとはいえ必ず呼ばれるのは相当なメリットです。
そこでバチバチにウケれば、OnlyOne芸人初の大ブレイク芸人になる可能性は高いと思います。
※YouTubeから初めて売れた芸人、フワちゃんみたいなものですね。
ピン芸人向きの人
最後に、どういった人がピン芸人に向いているかをお話しします。
【ピン芸人向きの人】
・個性・キャラクターが強い人
・イジられ系の人
・ガンガン前にでるハートの強い人
個性・キャラクターが強い人
前回のコラムでお話しした通り、コンビ芸人に比べてネタで不利なピン芸人にとって、キャラクターでフューチャーされるというのは大事な要素です。
無理して作っているキャラクターというのは、余裕で周りにバレてしまうので、根っから個性・キャラクターが強い人はピン芸人として有利です。
イジられ系の人
イジられ系の人が向いているというよりは、イジり側に回るピン芸人がいらないという印象です。
他の芸人をイジれる芸人は舞台なんかでは重宝されますが、TV番組では若手芸人よりイジりが上手い大御所芸人が山ほどいます。
てかそもそも若手芸人のイジりなんて不要です。
現場がピリついて終わります。
またTV番組という事で言うと「全部ボケで返す」という芸人より、イジられ系の方が有利です。
めっちゃ細かい話をすると、ある意味若手芸人というのは、他タレントの笑顔を作る歯車として呼ばれる側面があります。
TV制作的に、『「視聴率の取れるタレント・アイドルの笑顔」を作ってそれをTVで流すため、「笑顔を作る装置」として若手芸人を呼んでる』という事です。
この場合、若手芸人自体には価値はなく、芸人が作る他タレントの表情に価値があります。
同じひと笑いでも、ボケ単体の人だと一方通行の笑いになってしまいますが、イジられ系の人だと、価値のある周囲のタレントを巻き込み、笑顔どころかイジりに参加させる事ができるので、より価値を生みます。
結果、自分のくだりがTVで使われる可能性が高くなり、また、尺も伸びる可能性が高まります。
ガンガン前にでるハートの強い人
誰一人知っている人がいない現場に、一人で出向いて行くのがピン芸人です。
ネタだけで終わる場合はほとんどなく、エンディングトークやコーナーなんかにも参加します。
場合によっては、震え上がるほどの先輩と絡んだりします、誰も味方がいない中で。
人生で一番緊張してんじゃないか?って思うほどの緊張の中で、芸人はガンガン前に出て、笑いを取らなければならなりません。
そもそも相応のハートがないと成り立たないでしょう。
ただ、経験を積んでいけばどんどん慣れてくるので、これはそれほど気にしなくてもいいかもしれません。
まとめ
ピン芸人は、コンビ芸人に比べて、不利な部分が多いです。
しかし、全てにおいて自分の責任でお笑いをやれるというメリットもあります。
相方に恵まれなくてやめる芸人も多い中、ストイックにお笑いに向き合い、とことんまでやれるのがピン芸人です。
今からピン芸人を目指す方に、このコラムが役にたつと幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
執筆:吉松ゴリラ
SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。
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