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お笑い芸人の下積み時代とは?売れるまでにやっている仕事内容・種類を解説

お笑いコラム
公開日:2022年12月12日 更新日:2022年12月13日

執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。

今回は芸人の下積み仕事について、お話をさせて頂く。

芸人の下積みというと一般的には、単独ライブやそれに伴うチケットの手売り、先輩に叱られながらのユニットライブでの活動、以前ご紹介した【前説】などのイメージではないだろうか。

しかし、まだ世間に知られていない芸人の下積み仕事は山ほどある。

今回のコラムを読んで頂ければ、
・下積み時代、芸人が「本当にキツかった・・」と言う仕事!
・下積み芸人が行う、仕事の種類!
を、ご理解頂ける。

是非、最後までご一読頂きたい。



売れる前はみんな下積み!下積み時代の仕事

「NSCの頃に売れた」など、音速で芸能界を駆け上がる芸人はごく一部。というより、一部過ぎてもはや伝説。
基本的には、全芸人に下積み時代がある。そして下積み時代には、本当にキツかった・・と言われるジャンルが存在する。

今回はその一部を紹介する。

これは本当にキツい!同期の出演ライブの手伝い

芸歴3年以内の若手芸人で、「これが一番心が痛んでキツい」という意見は多い。
手伝いとは演者ではなく、スタッフ・エキストラとしての役回り。ちなみに芸歴5年を超えると痛みに慣れすぎて何も感じなくなるという、ラットを使った実験データと類似する回答が算出される。

ここで集められる手伝い芸人の多くは、「そのライブに出演できるレベルではない」と判断された芸人の中から集められる事が多い。
それは「おまえは人気や実力がピラミッドの最底辺である」という事を知らせる赤紙でもあり、そこで華々しく活躍する同期を尻目に裏方で手伝いをさせられている気分は、絶望のそれ。

ちなみにこれを経験した芸人は、憎悪タイプと不貞腐れタイプに分かれて今後の芸人人生をひた歩む。

憎悪タイプは、この日の怒りを自身の日記に書き殴る。
末代まで祟り殺す勢いのこの日記は、決して他人に見せられない呪いの本と化す。

ちなみにこの憎悪タイプのぼくの同期が、「宣戦布告!」のタイトルでこの思いをうっかりブログに書き記し、音速で発見されメガトン級の黒歴史を自身に刻んだ。

不貞腐れタイプは「どうせおれなんて・・」と、養成所の門を叩いた頃の自分に見せられない姿を全芸人にさらけ出し、酒を飲みながら同期の悪口を言う。

ちなみにこの時のターゲットは、なぜか女性人気の高いコンビに絞られるのがあるある。

主役はおまえじゃねぇ!エキストラ仕事

芸能界のてっぺんを目指し入ってきた若手芸人に突きつけられる、現在の立ち位置。タイトル通り主役はエキストラでないため、爪痕を残そうとしゃしゃると叱られる。

以前ぼくの同期が通行人役としてドラマエキストラに出た時に、雑踏の中でコマネチをするという暴挙に出て、総監督直々に叱られた。

ちなみに芸人のエキストラ仕事への好感度は、「キツいから、行きたくない」とゴキブリ並に嫌悪を抱く芸人と、「一瞬でもTVに映るから、是非行きたい」というプライドを捨てているが故の好感度を抱く芸人とにハッキリと分かれる。ちなみにぼくは、プライドかなぐり捨て型。

嫌悪感を抱く彼らは何がそんなに嫌かというと、「キツい」「ギャラが安い」「拘束時間が長い」という理由を口にする。ちなみにこれらは全て、事務所と現場によるので要注意。

「じゃあ嫌悪感を抱く芸人は、行かなきゃいいんじゃない?」という意見もあるが、それは事務所が許さない。
事務所的に制作会社とのパイプを保持することは必要業務。

なんだったらそのおかげで所属芸人に振ってもらってる仕事も多い訳で、そこは持ちつ持たれつ、「エキストラ◯◯人欲しい」と言われたらその人数を当然用意する。誰だってそーする。ぼくだってそーする。

更にちなみになんだが、嫌悪型はエキストラ仕事を「バイト」と捉えている芸人に多い。バラエティ制作のエキストラは、現場の裏側を見る事ができるのでそこで学べる事も多い。

しかし、若手芸人の多くはその極貧ゆえお金にしか目がいかず、カラオケバイトを理由に断りを入れ事務所に叱られるのが通例。


これぞ真の闇!先輩主催の、闇ライブのお手伝い

闇営業があるように、闇ライブというものが存在する。闇ライブとは事務所を通していないライブの事。
自分が主催したライブでも、事務所によっては利益の何割かを持っていく為、死んでもお金を守りたい芸人は事務所を通さずにこっそりと主催ライブをおこなう。

そしてこれは、その闇ライブの手伝いをさせられるという、最下層中の最下層の仕事。
最早下積みでも何でもなくただの労働のようなものだが、普段から繋がりのある先輩や、上下関係が厳しい事務所の場合断りづらい。

ちなみにこの闇ライブの手伝い、「ライブの見学をして良い」という極薄のメリットを条件に、無給かつ長時間労働させられるケースが多い。
大体開演19時〜のライブで、ライブによっては13時ごろに集合。舞台設営からアンケート用意、照明・音響のチェックとフル活動で駆け回る。

この業務を担当する後輩芸人は基本2〜3名おり、なぜかバリバリと働いているヤツより、サボりまくってるヤツの方が先輩に気に入られる。
サボりまくってるヤツの分まで働いているのに不思議と気に入られない可哀想な芸人は、このライブが大失敗に終る事を神に願いながらイスを出す。

これもまた真の闇!売れていない先輩の、幕間V制作のお手伝い

売れてる先輩や尊敬できる先輩の幕間Vは、勉強になるので当然手伝いたいが、ここで紹介するのは売れていない、かつ尊敬もされていない先輩芸人。

売れていないが故に求心力もなく、尊敬もされていないが故に身近な後輩にも断られ、困った先輩が更に売れていない後輩に依頼をかける。
文章化しただけで嘔吐を催す、やはり最下層中の最下層の仕事。

単独ライブでは、ネタとネタの間に「幕間V」といわれるVTRが流れる。これはYouTubeのような企画をおこなうものが多く、企画内容次第では多くの人手が必要となる。
特に初単独ライブなどで「おれは客を本気で笑わす!」と気合の入った先輩は凝りに凝るため、撮影場所が県をまたぐ場合もある。

また、このような先輩芸人の頭にコンプライアンスと言う言葉は存在しない為、過酷かつ過激な内容になるケースも多く、その場合後輩芸人は肉体的・精神的ダメージをこれでもかというくらい、負う。

このような申し出は基本的に断るのが一般的だが、性格的に断るのが苦手なタイプや、何かうっかりOKしてしまった・・という後輩芸人が餌食となる。弱肉弱食という、聞いた事のない世界観で構築されている仕事。

最近のトレンド!YouTube・TikTok撮影のお手伝い

最近増えてきた下積み仕事。事務所直属の先輩から依頼されるため断りづらい事に加え、勇気を出して断ると「いつなら空いてる?」と逃げきれないケースが多い。芸人界にはびこる、魔の強制イベント。

仕事内容は先輩側が用意した台本通りに動く演者としての役割や、カメラ・照明、物品の買い出しとほぼ全役回りをやる。監督が先輩で、その他全てが後輩芸人。バランスがおかしい事には当然気付いているが、それに関して何も言わない。古き悪き風習が、そこにはある。

ちなみに継続して参加していると、「ちょっとはおまえも企画考えてこいよ!」となぜか叱られ出すのは、最早あるある。叱られた後輩は矛盾に打ち震えながらも、やる気のない企画案を出し茶を濁す。

そしてその後、家に帰ってから更にやる気のない企画案を複数用意、「こいつに企画は無理か・・」と先輩が諦めるような捨て企画の準備をする。
まさに不毛。不毛の防御。

ちなみにYouTube・TikTokの撮影手伝いの場合、基本的に撮影後の食事が報酬となるが、人数分オゴるとなるとそれなりの金額となる為、「もう少し撮影があるから、先に帰ってて良いよ」と逃げ切りを図る先輩もいる。

飢えた後輩は何か理由をつけて最後まで居座ろうとし、達人同士の果し合いの如く、そこで見えない攻防が行われる。


結構ラッキー!先輩芸人のライブの観覧

現在あるかは不明。しかし、ぼくが若手時代には確かにあった。要は先輩の単独ライブがガラガラだと見栄えが悪い為、後輩を入れて満席を演出するという超アクロバティックな裏技。

ぼくの時代は強制イベントの場合が多く、事務所をウロウロしていると、「18時から◯◯人こい!」という通告が当日の昼になされる。そして候補者が出揃うまで、人権度外視で軟禁されるのが通例。

芸は見て学ぶもの、中にはまともにチケットを購入するとしたら3000円クラスのものもあり垂涎の申し出ではあるが、かなり急な為、バイトのシフトやその後の予定等があると対応が難しい。また極稀に全く見たくない先輩ライブも混入し、この場合後輩は人目をはばからずジャンケンをする。

まとめ

今回は、芸人の下積み仕事についてお話しさせて頂いた。

芸人は下積み時代に様々な仕事を経験し、そこでスキルや芸の幅を広げ、芸人としての基盤を作っていく。下積みとは、文字通り建物の大元、大きな基礎をこしらえるべく「下に積んでいく」作業であり、しっかりとした基礎を築いてこそ上に大きな建物を建てる事ができる。

上述した一見無意味に思われる仕事も、実は自身の人生観や芸の幅を広げる事に役立っており、また後のエピソードトークとして活躍しているものばかりである。

このコラムがみなさんのお役に立つと幸いだ。
ご一読、ありがとうございました。


執筆:吉松ゴリラ

SHUプロモーション所属。宮崎大学大学院主席。もともとコンビで活動していたが、解散後ピンへ転身。「激レアさんを連れてきた。」「新春おもしろ荘」「ガキの使いやあらへんで!」「ウチのガヤがすみません!」など多数出演。